株式会社キタムラ様

サーバーや周辺機器が占有するスペースの開放

 キタムラでは、サーバーの老朽化を見越して4年前にシステム更新を軸にした情報システム刷新の3カ年計画を立てていた。それは、初年度に基幹業務システム全体の更新、次年度にオンラインシステムの改善、3年目に老朽化したハードウエアの全面的な更新を行うというもの。「計画を実行していく中で、オンプレミスでの再構築と併せ、仮想化により物理サーバーの台数を最適化し、システムコストを下げられると踏んでいた」(佐藤課長)という。

 だが、市場の流れはアウトソーシング、クラウドへと向かっていた。「パブリッククラウドが先行し、データセンターのサーバーを共同利用することで大幅にコストが下がると言われていたが、基幹システムおよび情報に対する安全性や堅牢性、システム運用負荷が実際に削減できるのだろうか」と基幹システムを外部に委託することについて疑問があったと佐藤課長は話す。しかし、「むしろ経営層がクラウド利用に積極的だった」と営業部オンラインショップリーダーの柿沼洋介氏は振り返る。その後さまざまな情報を収集・比較し、クラウド化を検討しようと舵を切ったのが2012年の春だった。

 「サーバーを社外で運用する」と考えた背景には、社内環境の改善を図る目的もあった。今まで本部内にサーバーを設置・運用していたが、「サーバーは当然ながら常時稼働している必要があるため、無停電装置も必要。それらを合わせた周辺機器から発するファンの騒音、排出される熱も相当なもので、サーバーや無停電装置への負荷も大きい」(佐藤課長)、「今までサーバー群が占有していたスペースを縮小・開放し、有効活用する事が可能になる最良の方法を模索していた」(関口係長)という。また、「サーバー専用空調ではなく本部ビルの設備を利用していたため、十分に冷やすことができない。実際に熱でサーバーがダウンしたこともある」(佐藤課長)と、サーバールームの確保も課題になっていた。

管理部 情報システム課 課長 佐藤一也氏
管理部 情報システム課
課長
佐藤 一也

間接経費を加えたトータルコストで比較

管理部 情報システム課 関口 彰
管理部 情報システム課
係長
関口 彰

 このような諸問題を一気に解決するには、データセンターのクラウド環境で稼働・運用することが近道だった。そこで、長年システム開発を請負いキタムラの業務システムを熟知しているNSWに相談をしたところ、同社のクラウドサービスである「BlueSpider」の提案を受けた。「他のベンダーの提案と比較しようという考えはなかった」と佐藤課長は話すが、最初の提案ではむしろサービス利用により年間のシステム経費が増大するといった内容であり、「クラウドへの移行でコスト削減できるという想定が裏切られた」と感じたという。しかし「インフラや通信費の見直し、不定期に発生するスポット保守や修理部品費用、電気・空調の設備費用など、詳細を検討してみるとトータルコストが削減できる」という結論に達した。こうして、同社はNSWのクラウドサービスである「BlueSpider」の採用を決定し、2013年10月より運用を開始した。

 システム自体は既存のスクラッチ開発したものを踏襲し、専用の仮想サーバーとネットワーク上で稼働させている。業務システムはそのまま移行したので、「社内に対し、クラウドに移行するという告知はしたが、移行後もユーザーに変化を感じさせない安定した稼働を続けている。懸念していた移行作業もNSWの協力もありとてもスムーズだった」と関口係長。

 サービス利用により基幹システムの運用コストも明確になった。「システム経費が見えたことで、新しいシステムや業務フローを導入するときに経営層に説明をしやすくなった」と佐藤課長は話している。

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