オンラインショップは2台のサーバーで顧客からのアクセスを受け付けているが、「BlueSpider」に移行した直後、1台のサーバーの稼働率が低下する事態が起きた。「正常ではない挙動を検知したときにすぐに連絡がきた。オンラインショップのサイトが止まるとお客様に迷惑がかかるので、障害の前に対応できるのはサービス利用のメリットだ」（柿沼リーダー）と、NSWのクラウドサービスに信頼を寄せる。

　また、「他社の事例で、コスト低減を図るため複数ベンダーを利用したが、トラブル時の責任の所在が曖昧になり結果的にオンラインサイトの開発会社が苦労している、という話を耳にしたことがある。当社ではNSWに一本化したので、システムの運用上の責任にグレーゾーンがない」（柿沼リーダー）と、システム運用の責任が明確になっていると話す。

　佐藤課長は、この機会に実施した、ネットワークの再構築と通信回線の見直しにより、サーバーの遠隔設置によるネットワークの遅延を心配していたが、「特に遅いと感じることはないので及第点だと思っている」と語る。柿沼リーダーは「『BlueSpider』の利用により、オンラインショップの応答スピードはむしろ向上している」と、データセンターをベースにしたサービス利用に移行したことのメリットを実感している。

　スマートフォンやタブレットなどモバイルデバイスの普及で、オムニチャネル化やオンラインからリアル店舗に顧客を呼び込むO2Oマーケティングの重要性が高まっており、「個客」体験に基づくパーソナライズ化した提案を実践する流通小売が増えてきている。キタムラでも催事の際や一部の店舗で接客端末としてiPadを活用した“カラーオーダー”を導入しており、ネットとリアルを有機的に結びつける施策を展開している。新たな販促手法を取り入れれば、必要に応じてシステムリソースを増やす必要も出てくる。「クラウド化により柔軟なシステム構築が可能になった」と佐藤課長は話しており、関口係長も「これまではピーク時を想定してシステム構成を考えなければならなかったが、『BlueSpider』ではそれも不要になる」と期待している。