加盟店に対する手数料の請求と支払いは、クレジットカード会社や電子マネー会社によってタイミングや手続きが異なる。「その違いを吸収し、請求と支払いを一本化する仕組みを完成できたのは、NSWの金融サービスに対する実績とノウハウがあったから」（富井氏）と強調する。

　「J-Mups」では、加盟店ごとに複数発生する請求情報を一本化し、支払処理が複数に分かれないようにしている。NSW の提供するクラウドソリューション「BlueSpider」が、その請求一本化システムを提供している。

　「追加要件ごとにシステム開発する方法では、開発費用も高額で時間もかかる。『BlueSpider』を利用したことで、NSW の金融向けシステム開発のノウハウを活かしながら、柔軟なシステムを構築できたことが成功のポイント」（堀川優・アクワイアリングビジネスユニットアクワイアリング開発部ソリューション支援グループ調査役）と語るように、システム構成要素の一部ではあるものの、「J-Mups」において「BlueSpider」は非常に重要な機能を果たしている。

　決済システムにおける請求一本化システムの複雑さは、各決済サービス利用料金の請求・支払いスケジュールが、各カード会社や電子マネー会社によって異なるという点に帰結する。「その複雑な仕組みを考えあぐねているときに、NSW の提案で解決の糸口をつかむことができた。我々が求めることに対して的確に回答し実現してくれた」（富井氏）。三菱UFJ ニコスが目的としていた「加盟店に対するワンストップサービスの実現」に寄与している点からも、「J-Mups」の基盤の一角を「BlueSpider」が支えていると言えるだろう。

　「J-Mups」では、クレジットカードや電子マネーの利用情報はサーバーを経由するが、カード番号やそれに紐づく個人情報は蓄積されない。そのため、個人情報漏えいのリスクが低いという点でも、加盟店が導入する上でのメリットは大きい。「クレジットカードでは特に個人情報の管理には気を遣う。『J-Mups』はシステム自体に個人情報 を持たない。しかも、接続した加盟店の端末にもカード情報や個人情報を残さず、その端末も接続時に認証を行っている。このため、クレジット業界におけるグローバルセキュリティ基 準・PCI DSS（Payment Card Industry Data Security Standard）への準拠が求められるような環境でも、「J-Mups」を利用することが最も簡単な方法だと君野氏らは自信を示す。