日本のクレジットカード利用率は、年々拡大しているとはいえ、一般消費金額の十数パーセント程度に留まっている。この利用率は欧米主要国の半分程度であり、韓国の約60%という利用率に比べると、まだまだ低い。その一方で、非接触IC カードの普及に伴い、プリペイドカードや交通乗車カードに代表される電子マネー機能が普及してきた。近年では携帯電話などにも搭載され、クレジットカードと並び、無視することができない決済インフラの一つとなっている。
電子マネーは、首都圏で共通的に利用できる交通乗車カードの利用者増加に伴い、これを利用して決済を行うことができる店舗も増加した。一方、流通大手企業などが独自の電子マネーを発行し、消費者の囲い込みを図っている。消費者にとって、決済手段が増えることは支払いの利便性向上に繋がるが、店舗では、各種決済方法に対応した端末の設置など煩雑さが高まってきた。三菱UFJ ニコスが2012年7月に運用をスタートした「J-Mups」は、一つの端末でクレジットカード、デビットカード、電子マネーを利用できるペイメントサービスである。そして、多様な決済処理に対応しているにも関わらず、決済スピードは従来よりも速くなっている。
「既存のクレジット決済端末は、各センター間が従来のアナログ回線やISDN 回線で接続されている。IT が普及した現在、接続回線が昔と全く変わっていないのが不思議なくらい。決済処理を行う際、加盟店と情報処理センター間の回線の遅さがネックになっていた」(君野則之・アクワイアリングビジネスユニットアクワイアリング推進企画部長)という。